武庫川タンデムサイクリング(2009/11/08)ボランティア体験記
CVJより参加した2名からの報告です。
大島副代表報告
これほどたくさんのタンデム自転車が一同に集められたのをご覧になったことがあるでしょうか。

今年も晴天の下「兵庫タンデムサイクリングを楽しむ会」が、兵庫県西宮市の武庫川河川敷で行なわれました。これは「視覚障害」をもった方々にタンデムの後部座席に乗っていただき、「健常」者がパイロットとして前部でハンドルを握り、自転車の楽しさを体験していただくというイベントです。昨年は西川・大島がボランティアとして参加しましたが、今年は浦川、加藤、大島の3人が参加し、CVJのビラまきやイベントのお手伝いをしました。
特に浦川さんは今年、実行委員として事前から関わり、CVJのことを宣伝したり、当日は30年間のプロの競輪選手としての脚力を十分に発揮してパイロットの先導役として大きな活躍をしてくださいました。加藤さんはパイロット、大島は沿道警備の役割で大会に協力させていただきました。

<走行中の浦川、加藤>
今年は、「視覚障害」をもつ方42名に対し、42台のタンデムとパイロット(前のシートに乗る人)が用意され、受付、昼食係、沿道警備などを含め、総勢150名もの参加の大きなイベントとなりました。
また、肢体不自由の参加者のためには車イスに取り付け可能な「ハンドサイクル」が2台用意され、車イス対応の仮設トイレが設置されるなど、温かい思いやりに満ちたイベントでもありました。

写真<ハンドサイクル>
さらに、当日はいろいろな場面で、「障害」をもった方、パイロットのメンバーと交流の場をもち、来年の「小豆島イベント」への参加を多くの方に検討していただくなど、実りある一日となりました。
大島政廣。
加藤吉和 報告
初めて投稿します。2009年の「しまなみイベント」に参加し、その後会員にさせていただきました。今回初めて、このようなイベントにCVJの会員としてTシャツを着て参加しました。そこで、『これからも頑張れよ!』って神様が素敵な体験をさせてくれましたのでご報告します。
私がペアを組んだSさんは、左目は全く光を感じなく、右目は暗いか明るいかの判断が出来る程度、しかも普段から運動不足で体重は90kgを超える方で、自転車には不安を感じられているようでした。ご一緒に参加された奥様(弱視)に「強引に連れてこられた」と少し愚痴っておられました。
重心が低く、ハンドル位置の高いタイプの自転車が当たったので、「スピードも出ませんから、ゆっくり行きましょう」と話して走りはじめました。暫く走っていると「うわぁ~気持ちいい、何年ぶりだろう、こんな気分になったのは・・・」と言われ、そこから饒舌に話し始められました。

実は子どもの頃、自転車が大好きだったこと…。20歳の頃、未だ右目は弱視だったので公園で自転車に乗ろうと挑戦して、ダメだったこと…。それ以来30年振りの自転車だと言うこと・・・。
そして、「本当は今日、自転車に乗るのは怖かったんです。」と話し始められました。「実は、僕の目が見えなくなったのは、自転車が原因だったんです。」と言うのです。ええっと聞き返すと「8歳の誕生日に、当時は珍しかった変速機付きの子供用自転車を買って貰い、嬉しくて、嬉しくって、毎日乗っていて、それが自慢でみんなに見せびらかしていたんです…。で、ある日下り坂を颯爽と走っていたんですが、ブレーキが利かずにガードレールを突き抜けて15m下に落下、3日間意識不明が続き、一命を取り留めたのですが左目の視力を失ったんです。」
そして右目は視力0.1有ったのですが、近い将来失明します。と言われたそうです。
長い入院生活を終え、リハビリが一段落したときに、将来のことを考えて盲学校に転校したそうです。自宅近くになかったため、名古屋の盲学校で寮生活を送ることになったそうです。当時、小学3年生のSさんは毎日母親が恋しくて泣いていたそうです。中学卒業まで7年間の寮生活を送ったそうですが、なんで僕がこんな目に遭うんだろう、生きていても意味があるのか?と思い続けて、あのとき自転車に乗っていなければ・・・自転車さえなければ・・・等と思ったそうです。
ご両親も、「あの時、自転車を買い与えなければ、こんな人生を歩ませずにすんだのに・・・」と、よくご夫婦で嘆いているのを聞いた事を、子ども心に覚えているそうです。
そんなトラウマがあって躊躇していたらしいのですが、「今日であの頃に戻れた気がします。「先日、50歳の誕生日で、・・・あれから丁度42年経ったんですよね、・・・あの事故に遭う直前も山の中を走っていて最高の気分だったんですよ、・・・今日も紅葉とかが綺麗でしょうね?」
「はい、今日は天気が良いので武庫川の川面もキラキラしていて、河原の桜が紅葉していて、大きな松の木の緑と相まって、青空と六甲山系の山並みがとっても美しいですよ・・・」って応えました。
国道2号線の橋の下を通るときには、「空気が変わった…。冷やっとして気持ちいいですね。」「いい匂いがしますね…。どこかでバーベキューしていますね…。」等と、ずぅ~と話し続けて走りました。1周回8kmの予定が、2週回16kmに変更し、しかも1時間以上掛けてゆっくり話しながら走りました。
自転車を降りたときに「42年前の今頃は、僕はベッドの上で不安と戦っていました、そしてそれを引きずって来たような気がします。でも、今日とてもいい気分で自転車に乗れて幸せでした。」と手を握られました。
私は不覚にも目頭が熱くなってしまいました。そしてとても幸せな気分になりました。
私ごとき人間が、たった1時間ペダルを踏んだだけで、一人のハンデある人に幸せを感じてもらえるなんて『自転車って凄い力があるんだな!』って心底感じました。今回は、フラットな河川敷のサイクリングロードでしたが、起伏に富んだコースでしたら私の実力では無理です。
自転車素人の私が、スーパーサイクリストの集まりであるCVJの会員になるなんて…。最初、大島さんにお誘いを受けたときには「イベントボランティアだけで、会員は無理です。」と断ったんですが、再度お奨めを戴いて、会員にさせていただきました。でも良かったと思います。
今後、53歳の身体に鞭打って技術を付けて行きたいと思います(代表の年齢まで走れるように・・・)。
長々と書き込んでしまいましたが、今回の経験で『自転車を自在に扱う』皆様を益々尊敬いたしました。
今後とも宜しくお願いいたします。そして自転車の話、色々お聞かせ下さい。
加藤吉和
2009年11 月11日(水) カテゴリー: 会員活動報告
