中国、西安から広州(2010/5/31-7/3)
中国をシルクロードの東の基点、西安から長沙、桂林、広州と走った。
山は緑に覆われ、平野部はくまなく耕されている。都市は猛烈な勢いで道路や高層住宅を建設中。

■秦嶺山脈越え
2010年6月5日に西安を発ち、自転車旅が始まる。
城壁の外に出ると商業地域が続いた後、高層住宅の建設エリアに突入する。26キロ地点でレーサーで走ってきたワイフは来た道を戻っていった。彼女は西安から帰国する。

秦嶺山脈越えはピークが1950メートル(気圧高度計)、西安から1500メートルも上がる。初日だけに辛かった。
ピークから下り、最初の集落、広貨街鎮で投宿。20元(280円)でトイレ・シャワーは共同。
翌日はさらに高い2299メートルの山越え。しかも、雨に降られ、震えながらのダウンヒルとなった。
■漢水をくだる

6月8日、秦嶺山脈を抜け安康で「漢水」にでた。武漢で長江に合流する大河だ。橋はほとんどなく、対岸との往来は渡し船。地形が険しく、道路も意外とアップダウンがある。道路工事区間があり、前日までの雨で路面はどろどろ、粘土状。足を着かぬよう必死でこぐ。車はすれ違いが出来ず、大渋滞。3キロも続いた。あちこちで道路工事区間を通ったが、たいてい5から10キロにわたり工事が行われている。車はその間一方通行のことが多いのでずいぶん待たされることになる。

昼食は食堂で「肉野菜炒」と手帳に書いたものを見せて注文。だからいつも同じ料理。麺の店に入ると肉野菜麺になる。値段は4~5元(55~70円)。

今回、ほとんど国道を走ったが、道幅が広く、路肩がしっかりしているので、車とのすれ違いで怖い思いはしないですんだ。しかし、車は追い越してゆくときにけたたましいクラクションを鳴らしてゆく。
■襄樊
6月12日、石花鎮から襄樊(シャンファン)までの80キロ、国道でなく省道(日本で言えば県道)を走る。道はしっかりしており、両側にはポプラのような高い木が続き、木陰を作っている。

襄樊は城壁が囲む歴史を感じさせる町。中心部には歩行者天国エリアがあり、食事や買い物の若者でにぎわっていた。

80元(1100円)の宿に入る。PCが置いてあり、インタネットにアクセスできる。多くの宿でPCまたはインタネットを利用できた。今回、小型の携帯PCを持参。途中でキーボードがおかしくなったものの、重宝した。但し、メールアクセスが遅かったり、インタネットでページが開かなかったり。
■長江を船で渡る

6月15日、荊州でルートは長江を渡る。長江の河岸に来たが、自動車専用の巨大な橋の他に橋は見当たらない。散々迷って「渡し船」に行き着いた。とうとうと流れる、泥色ににごった長江を5分ほどで渡った。
この辺り、地図を見ると湖水が入り組んでいる。走っていると、水路や湖を見かけた。

巨大都市の長沙で、上島珈琲の看板のある酒店(ホテル)に投宿。ホテルと同じ建物内のレストランで珈琲やビーフステーキにありついた。いつもの夕食に比べ、値段が一桁アップ。
都市では再開発が進行中。広い道路や高層住宅を猛烈な勢いで建設している。バブルではないかと思うほどだ。
■雨中に道を間違える
6月22日、朝から雨。雨具をつけて出発。昼に大きな町で昼食を食べた後、町を出るところで道を間違えた。T字路にぶつかり、右折するべきを左折してしまった。約90万分の一の地図で行動しているので、現在地把握が難しい。

この日泊まった宿は今回の旅で最安の10元(140円)。湯が出ないのでシャワーはあきらめた。宿の主人は店先でカード遊びに興じ、まったく商売っ気なし。
■桂林からり漓江(リコウ)下り

6月24日、桂林に着き、桂林市旅遊局(インフォメーション)で、漓江下りのチケットを購入。中国人用ボート245元(3430円)、英語ボート450元と聞き、中国人ボートを選択。自転車を袋に詰めて船に載せ、船の終着点の陽朔まで、80キロほどを走らずに休息にあてた。
漓江下りは3時間とちょっと。両岸のとんがった山々の間を船が縫って行く。

終着点の陽朔も雰囲気のよい観光地。ユースホステルを見つけて投宿した。といっても、トイレ、シャワーのある個室。ホテルとほとんど変わらなかった。宿のカフェでワインを飲みながら日誌をつける。
■大雨、土砂崩れ

6月28日、大雨の中を出発。街道には登校の小学生が列を成す。

あちこちで土砂崩れにあう。赤土の斜面で雨が降れば流れ出すのだ。道路全幅が泥で埋まっているところにきた。深さが判らないので車が通るのを見てから突破する。踏み出すと意外と泥が深く、抵抗がある。ガードレールにつかまりながらそろそろすすみ何とか足を着かずに脱出成功。
高齢の女性が民族服で水牛を追っている。厚手の黒い膝まであるはっぴのような服。頭にはターバンのようなものを巻いている。観光用でなく伝統を守っている。このエリアは壮(チワン)族、揺(ヤオ)族の自治県なのだ。地形は急傾斜地だが、段々にして田や畑を作っている。
■地図にない新道を走り、ルート変更余儀なく
7月1日、夜中に足のすね筋肉がつり、目が覚めてしまった。塩分不足か。
英徳市を出発し、10キロ地点の分岐で「広州」を選び直進。バイパスだろうと高をくくっていたがとんでもない。どんどん高度を稼ぎ、西のほうにずれてゆく。道路そのものは中央にコンクリートブロックを置いた高規格道路。予定外の「佛岡県」に来てしまった。地図にない新しい道だった。
田舎の村で投宿し、夕食は小さな食堂で回鍋肉と珠江ビール。南に下るに従い、ビールのアルコール濃度が上がってきた。はじめのうち飲んでいた青島ビールは3.1%、しかしこれは4.3%もある。のどごしも当然違う。
■広州到着
7月2日。10時前、25キロ走って広州市の北部の町、花都区に到着。広州空港に近いのでここで終了とする。西安から2544キロを走った。

マクドナルドに入り、コーヒーと鶏肉バーガー、15.5元(217円)。繁盛していて店員も生き生きと働く。客は食べた後、プレートをテーブルに置いたまま店を出る。廃棄ボックスはあるのだが。
目の前は高層住宅。その一角の空き地では新しい建屋を建設中。3台の巨大クレーンが稼動していた。

大きなホテルに投宿。値段は走り出してからの最高額268元(3752円)、快適な部屋だった。
大韓航空に電話し、翌日の便にフライトを変更。これで明日は日本に帰れる。自転車を分解し、袋に詰めた。
夕食はホテル向かいの家族的雰囲気のレストラン。大きくはないが繁盛している。ナス料理とウリと肉の炒め物の2品。ビールも2本。料理は辛くなく、今までの道中の味付けとは違う。旨い。広東料理だとおもう。
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■人々の気質
・食堂などで話をする必要があるときは、自分が日本人で自転車で旅行している、と言う(書いた紙を見せる)と、例外なく興味を示し、質問して来た。道を訊くと面倒がらずに教えてくれた。
・お金をぼられたり、ごまかされたことはほとんどなかった。一度、西安に着いた日のホテルまでの白タク。50元(700円)と約束したが、メーターなら10元足らずの距離だった。それでも降りるとき、50元がなく、100元札を出したら、つりがないという。40元を出すと、それでいいと言ったから、気質がわかる。そこからホテルまでが遠かったのだが。
宿はその多くが宿代のほかに「押金」と呼ぶ預かり金を要求する。でもそれは翌朝必ず戻ってきた。買い物をしても、つりは正確に戻ってきた。
■人々の生活レベル
地方を走ると川で洗濯する光景あり、家々の前に手押しの井戸を見かけることもある。北の地方都市では大八車をよく見かけた。街角で待機し、荷物運びを請け負う商売。そのような生活は50年前の日本の風景と重なる。
一方、進んでいるほうは先進国と変わらぬ生活がある。日本でも高級とされる自動車がたくさん走っている。多くのホテルにはPCが備えられているし携帯電話の普及率もかなりのものだ。
■物の値段
<食料品店で>
・ミネラルウオーター(600ml) 1-1.5元(14-21円)
<食堂で>
・肉野菜炒め 10元(140円)
・麺類 5元(70円)
・ビール(大瓶) 5元(70円)
<ガソリンスタンドの看板>
・ガソリン(1リットル) 6.4元(90円)
<宿代>
・トイレ・シャワーが共同の安宿は一泊10-20元(140-280元)。鍵をかけない部屋にベッドが置かれ、シーツはたまに替えると思われる。身分証の提示も要求されない。
・トイレ・シャワーつきの宿は60元(800円)から。
100元(1400円)で清潔なベッド、洗面所、インタネットアクセス装備の部屋に泊まれた。
■ごみのこと
・地方の町や村では道端にごみが山になって捨てられている。ゴミを片付ける習慣がないかのように。
・食堂で客が食べ残し(肉の骨などのかす)やちり紙を床に捨てる。
・商店の主人が、ゴミを道路に投げ捨てる。
・道路清掃の人がゴミを回収する。
■自転車から見た中国の交通ルール
基本ルールは右側通行、赤はストップ、青はゴー。しかし、応用がある。信号が赤でも右折の車は行ってしまうことが多い。それも、どうどうと。そのとき、人や自転車は待たなければならない。車優先だから、我々は車から目を離すわけにはいかない。
街道を走るとき、車はぎりぎりを抜いてゆくことは少ない。国道など、道幅が広いこともあるだろうが、ヒヤッとすることはなかった。しかし、追い抜くときや注意喚起のためにけたたましくクラクションをならされるのは身がすくむ。ドッキリしてしまう。次第に慣れてきたが。
■装備
・自転車…ドロップハンドル、MTBタイヤ使用の車輪、泥除け、前後キャリヤ。バッグは後にサイドバッグ2個と前にフロントバッグ、いずれもオルトリーブ製。
・荷物…宿どまりで計画したので、キャンプ用品は緊急用にツエルトと軽量シュラフのみを携行。炊事道具は持たず。自転車を含めた総重量は27kgになった(帰りの広州国際空港のチェックインカウンターでの計量)。
・地図…中国製、90万分の1前後の省別地図(4葉)を日本で調達して持参した。
中国製の地図は情報量が乏しい。しかし、省道や国道を走るだけなら道に迷うことはないし、描かれている情報をよくよく見ればいろいろ判る。川の流れや、道の曲がり方で地形を想像したり。しかし、思わぬ山越えがあって苦労することもあった。
現地では西安周辺の等高線つき25万図を入手。走行初日の山越えに役立った。
・中国「元」の調達…往きの成田空港で両替で600元を入手し、後は現地でクレジットカードか銀行カードで「元」を引き出した。「県」や「市」ではクレジットカードで引き出しができるATMを多く見つけられた。
■費用
1.為替レート <単位:円/元>
・7/9の朝日新聞 … 12.99
・5/31成田空港で両替 … 15.16
・6/4 ATM(銀行カード) … 14.00
2.掛かった費用 (円換算)
交通費 102,652-
宿泊費 60,600-
食費 37,508-
雑 36,363-
みやげ他 9,174-
合計 246,297-
3.宿代
最安価格 10元(140円)
最高価格 350元(4900円)(西安のホテル)
佐々山 厚
2010年8 月14日(土) カテゴリー: 会員活動報告
